お墓・納骨

お寺と良い関係を築くためにはどうすればいいの?

お寺と良い関係を築くためにはどうすればいいの?

ご先祖様の供養を手厚くしてもらうためには、寺院との良好なお付き合いが必要です。ここでは、寺院と良好な関係を築く方法について解説します。

檀家とは

檀家とは、先祖代々の供養や法要を執り行ってもらうための菩提寺を利用している家のことを指します。 「ダーナパティ」というサンスクリット語から来た言葉で「寺院を援助する庇護者」という意味が込められているのです。檀家が葬祭起用をその寺院に任せる代わりに、お布施などで経済的な支援を行う制度のことをいいます。

法的に定められた「檀家になる」とは、仏様やご先祖の供養のお参りや寺院で行われる説教などの集会に参加をして宗教活動を行ったり、お布施によって経済面から寺院を支えたり、葬儀は寺院に依頼するという掟が定められています。この掟は、文化として根付いており、現在でも続いています。

入檀方法

檀家ではない家が寺院の檀家になることを「入檀」と言います。入檀するためには、所定の手続きが必要です。檀家契約書や墓地契約書を寺院に提出して、入檀料(10万円~30万円)を支払います。

また、寺院に位牌を安置する場合は別途費用を支払う必要があります。 入檀すると経済的負担がかかりますが、ご先祖様の供養を手厚くしてもらえるなどのメリットがあるため、入檀するかどうかは時間をかけて検討してみてください。

離檀方法

檀家そのものを辞めることを「離檀」と言います。離団の際にも手続きが必要になります。まず、菩提寺からお墓を引き上げる必要が出てくるため、市役所から改葬許可証を発行してもらいます。この許可証がなければ、お墓を自由に動かすことができないため注意が必要です。

また、離団する場合も菩提寺に料金を支払う必要があります。離檀料の相場は法要1回分程度の費用(5万円~20万円)が一般的です。離団する場合は、経済的負担もありますが、菩提寺と軋轢を生まないように心がけましょう。これまで供養をしてくれた菩提寺には、どうしても病む得ない事情で檀家を辞めるという姿勢を見せるようにしてください。

離檀したい理由は、人それぞれです。中には、宗教を変更したいという方もいるでしょう。しかし、宗教を変更したいから離檀したいというようなことは伝えてはいけません。人間関係を壊すような揉め事を起こさないように、僧侶の方が不快に思わずに納得できる理由を説明してください。

檀家制度の歴史

檀家制度は江戸時代から始まりました。海外貿易の影響でキリスト教が普及して拡がりを恐れていた徳川秀忠が、仏教を国教化し、異教としてキリスト教などを弾圧するために発足した制度です。

檀家制度の根幹は、幕府が設けた「寺請制度」です。寺請制度とは、「自分はキリスト教の信者ではない」ということを寺院に保証してもらい、その証分を幕府に提出することを義務付けた制度のことです。この証文のことを「寺請証文」と呼ぶのですが、仏教徒であることを証明する証文は、やがて結婚や養子縁組、出生、死亡などの戸籍の証文とまでなり、その都度寺院の押印が義務付けられました。

人々の身分を保証する代わりに、人々を檀家にして寺院の経営を支えてもらっていたのです。この制度が、現在の檀家制度の根幹になっています。

檀家離れが進んでいる理由

従来の檀家は、寺院の経済的負担を担い、参詣・年忌法要・付け届けなどが義務化されていました。

檀家が金銭的な負担を拒否すれば、寺院は葬儀の依頼を拒否できたため、寺院は社会的な地位を脅かすものだったのです。遠方での移住などの例以外では、別の寺院の檀家になることも許されておらず、その檀家を先祖代々引き継いでいくものだったのです。

近頃は、檀家になるかどうかの選択肢に自由度が高まってきているため、家庭の事情で離檀する方も増えてきています。しかし、葬儀や法要を菩提寺に依頼するのが暗黙の了解だったり、お布施を包むという文化は根付いています。このような宗教の習慣にこだわらない方が離檀を希望しているのです。

チェックポイント

檀家が葬祭起用をその寺院に任せる代わりに、お布施などで経済的な支援を行う制度のことをいいます。経済的に寺院を支援する代わりに、手厚い供養がしてもらえます。

檀家の特徴

檀家の基本的な概要について説明しましたが、ここでは、どのようなメリット・デメリットがあるのかを解説します。

檀家のメリット

まず、檀家のメリットには次のようなことが挙げられます。

・手厚い供養を受けられる

檀家になると菩提寺と親密な関係を築き挙げることができて、手厚い供養が受けられます。近頃は、さまざまな事情で定期的にお墓参りができない人が増えてきましたが、そのような場合でも菩提寺の住職が代理で法要を行ってくれるのです。また、お墓の保守管理も行ってくるのが最大の魅力です。

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・葬儀を執り行う際に相談できる

葬儀は人生で何度も起きるものではありませんが、身内の不幸は突然訪れます。葬儀は、身内の不幸で悲しむ間もなく執り行わなければいけません。そのため、戸惑うこともあるでしょう。しかし、菩提寺と親密な関係を築いていれば、葬儀の仕方など詳しく教えてもらうことができます。

次にどのようなことをしていくべきかを親切に教えてもらえます。 このように葬儀の相談ができるということは、精神的に大きな支えになってくれるでしょう。どうしても法要や葬儀の際は、慣れない準備で精神的に疲れてしまいます。このような精神的・体力的負担を少なくできることに越したことはありません。

・優先的に葬儀や法要を行ってもらえる

複数の葬儀が執り行われる際に優先的に行ってもらえるので安心です。お盆などの繁忙期でも、檀家に入っておけば優先されるため、手厚い供養を希望する方は入檀を検討してみてください。

檀家のデメリット

次に檀家のデメリットについて解説します。

・経済的負担がかかる

繰り返しになりますが、入檀や離檀の際には費用が発生します。入檀料も離団料も10万円~30万円程度するため、経済的負担がおおきいことがデメリットです。また、志納料などの下記に記載の費用を毎年支払わなければいけません。

檀家になるということは、その菩提寺を支える義務を負うことになるため、経済的負担は避けることはできません。場合によっては、自分の考えている予算を大きく超えてしまう場合もあるので注意が必要です。

[檀家が負担する費用]

護寺会費 1万円~2万円/年 これは、お墓の清掃をしたり、寺院を運営するために必要な費用になります。これらの費用は檀家が負担しなければいけません。金額は菩提寺に応じて変動するため、事前に確認してみてください。
お布施 1万円/回 寺院では年に数回の行事が行われます。この行事に参加される場合には、参加費としてお布施を支払わなければいけません。
檀家負担金 お寺には本堂や鐘楼や山道といった施設がありますが、これらの施設の修繕費用の寄付の依頼があります。この費用は、あくまでも寄付なので、必ず支払わなければいけないという訳ではありません。
志納金 10~30万 檀家の会費に当たるもので通常は、入檀料と一緒に支払われることが多いです。

・行事の参加など制約を受ける

入檀して菩提寺を持つと、その菩提寺の宗派に即した法要マナーに従う必要性が出てきます。法要の際の作法の違い程度であれば、宗派に対する理念を持ち合わせていない限りは問題にならないでしょう。しかし、一定の行事への参加が求められたり、他の寺院にお願いをして供養してもらえないなどの制約が出る恐れがあります。

・方針に一貫性がない

檀家制度の内容は、寺院によって大きく変わります。方針に一貫性がなく不透明な部分が多い寺院も多くなっています。そのため、入檀を決める際は規約などをシッカリと読んで、お互いの価値観に相違がないかを考えていきましょう。少しでも不明点があれば、寺院に確認することが大切です。

チェックポイント

檀家制度は手厚い供養が期待できますが、経済的負担がかかります。メリット・デメリットを踏まえて入檀を検討してみましょう。

お寺の年中行事

お寺の年中行事には、どのような行事があるのでしょうか?一般的な行事について確認しておきましょう。また、行事は宗教によって異なるため、入檀する前に行事についても詳しく把握しておくようにしてください。不明点があれば寺院に確認をしてみましょう。

1月1日:修正会

正月の初めに、社会の平和と人々の幸福を祈って法会を修します。私たちも、無事に信念を迎えられたことをご本尊さまに感謝をして、新しい一年を健やかに過ごせるように、菩提寺へ初参りをするのです。

2月15日:涅槃会

お釈迦様が沙羅双樹の下で入滅されたと伝えられている日に、その時のありさまを描いた涅槃図をかけて営む報恩追慕の法会です。

4月8日:灌仏会

仏教を開かれたお釈迦様が、ルンビニーの花園で誕生した日です。日本各地の寺院では、さまざまな色の美しい花を飾った花御堂に、右手で天を指し左手で地を指す誕生仏をまつり、甘茶をかけて誕生を祝う行事が行われています。

10月13日:御会式(おえしき)

お会式とは、日蓮聖人のご命日である10月13日を中心に行われる法要です。12日には、万灯練供養(万灯行列)が行われます。100を超える各地の万灯講中が練り歩き、池上の町は深夜まで万灯の灯りとお題目に包まれます。その様子は、古くから秋の風物詩と名高く知られています。

11月28日:報恩講

浄土真宗をひらかれた親鸞聖人は、弘長2年(1262)11月28日に90歳でお亡くなりになりましたので、その11月を中心に報恩講は開催されています。報恩講は、親鸞聖人のご恩に報いる集まりなので親鸞聖人の喜ばれることをすることが大事です。そのため、親鸞聖人が教えられている信心獲得を学びます。

12月8日:成道会

人間として誕生して、幸福について悩み続けていたお釈迦様は、12月8日に仏陀となりました。それを記念した法会を「成道会」と言います。各寺院では「悟り」を讃える法要や行事が行われます。

施餓鬼会

施餓鬼会の期日は定められていませんが、年中行事の1つとして定められています。施餓鬼棚に「三界万霊牌」に位牌を置き、浄水や食物を供え、五如来の「施餓鬼幡」を立てて法要を営むのが習わしです。日頃の「餓鬼」の心を反省して、自他ともに生かされている現実を受け止めて、救われる功徳を積んでいくことを反省することや福徳延寿を願う法要です。

チェックポイント

檀家になる場合は、各イベントに積極的に参加するべきです。宗教ごとにイベントが異なるため、どのようなイベントがあるかを把握しておきましょう。

最低限のお付き合いとは

檀家は、経済的な負担もしなければいけず、各行事に参加しなければいけないのか不安になっている方もいると思います。ここでは、檀家になった場合のお寺との必要最低限の付き合い方について詳しく解説します。

無理のない範囲の寄付をする

東京などの都心部を中心に、寺院との関わりが薄くなっていると言われています。お寺は格式が高いため、近寄りがたいイメージを抱いている方も多くいるようです。 また、近頃は民営墓地なども増えてきており、寺院や霊園の経営が不安定になってきています。そのため「高額なお布施を請求されてしまった…」「離檀を希望したら怒鳴られた…」などのトラブルも一部では発生しているようです。

しかし、現在では家庭の可能な範囲でのお布施を包むことが推奨されているので、無理のない程度で寺院との付き合いをしていくことができます。 しかし、僧侶の方にご迷惑をかけない程度の平均的なお布施を支払いたいと思う方もいるでしょう。このような人のために、葬儀や法要に必要な具体的なお布施の費用を明かしている寺院も増えてきました。

感謝の気持ちを忘れない

檀家に入ると、先祖代々の供養をしてもらえます。これまでご先祖様の供養をしてもらっていた感謝の気持ちを忘れずに、檀家として寺院に協力する姿勢を持つことが大切です。近頃は、檀家になるかならないかの選択が自由になりつつあります。

そのため、自分の過程の事情や状況を良く考えて決めると良いでしょう。 しかし、檀家を菩提寺に協力する姿勢を見せることで、ご先祖様を手厚く供養してもれます。お互いに支え合う気持ちを忘れないことが大切です。

チェックポイント

寺院と良好な関係を築くためには、無理のない程度で支援をしましょう。また、代理で供養してくれる寺院に感謝の気持ちを忘れないようにしましょう。

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葬儀の規模や内容の決定にあたっては、
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様々な観点からじっくりと検討する必要があります。

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