葬儀のマナー

お悔やみやねぎらいの言葉の伝え方と注意すべき忌み言葉について

お悔やみやねぎらいの言葉の伝え方と注意すべき忌み言葉について

葬儀では、遺族や参列者どちらの立場であっても言葉に非常に気を付ける必要があります。仮に、どちらの立場であったとしても忌み言葉を使用してしまった場合、トラブルとなる可能性もあるでしょう。

忌み言葉は葬儀におけるマナー違反となる言葉です。しかし、「何がNGな言葉になるのか?」「使わないためにどんな点に気を付ければいい?」と疑問に思うこともあるでしょう。今回は、忌み言葉がどのようなものか、そして実際に声をかける時にどのようなことを言えばいいのかについて文例などもみていきましょう。

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葬儀でのお悔やみとねぎらいの言葉では忌み言葉は使わない

葬儀においては、礼節や型式を軽んじた言動はNGといえます。髪型や服装から細かく決められていることから、言葉に対してもある程度の制限があります。そして、普段使用している言葉でも、葬儀の場では忌み言葉として言ってはならない言葉として扱われていることも少なくありません。

そして、仮に挨拶やスピーチなどで、忌み言葉を使ってしまった場合、人間的評価に大きなマイナスが生じる可能性があります。人が亡くなったことに対し、配慮できない人間だと評価されることになります。それほど、葬儀の場では忌み言葉を使うことは重要なマナー違反だといえるでしょう。

加えて、葬儀の場では、近しい人間だったとしても遺族側と参列者側で別れます。そのため、長く遺族と参列者が話をすることはあまりありません。しかし、短い会話の中でも失礼がないようにするためにも忌み言葉を把握しておきましょう。

忌み言葉とはどんなものか

忌み言葉に当たるものは、非常に沢山あります。言葉の種類を系統に分けると、以下の4つがあてはまるでしょう。

表現を重ねるもの

重ね重ね、次々、色々など。NG文例「色々とお世話になりました」

不幸が連続して続くことを連想させるもの

続いて、次に、引き続きなど。NG文例「引き続きよろしくお願いいたします」

死をイメージさせるもの

焦る、離れる、死亡、終わるなど。NG文例「〇月〇日死亡いたしました」

縁起のよくないもの

終わる、消える、破れるなど。NG文例「子育てが終わり、晩年を迎えました」

忌み言葉 言い換え 文例
重ね重ね 深く 深くお礼申し上げます
また 改めて 改めてよろしくお願いいたします
死亡 ご逝去、息を引き取る ご逝去されたこと、心よりお悔やみ申し上げます。
色々 多彩な 引退後、多彩な趣味にめざめまして晩年は幸せだったと思います。
時々 時折 離れて暮らしており、時折、故人の姿を思い返してみても寂しそうにしているところはありませんでした。
引き続き これからも これからもよろしくお願いします。

どれも忌み言葉として使ってはならないNGワードであり、言い換えが必要となります。それぞれの言葉がどれに該当するのかも把握したうえで、どのように伝えればいいのか十分に配慮したうえで使っていきましょう。

葬儀でのNGワードは多い

葬儀においては、遺族の宗教などもある程度、考慮した言葉遣いが必要となります。例えば、「冥福」といった言葉は仏教用語のため、キリスト教では使用しません。

これは、言葉というよりも宗教としての考え方の違いであるため、理解したうえで言葉を使用していく必要があります。また、供養などといった言葉も遺族の宗教を考慮して使用しなければなりません。

加えていえば、宗教上使ってはならない言葉だけでなく、励ましの言葉なども使わないほうがいい場面が非常に沢山あります。簡潔にいえば、それらも忌み言葉ではないものの、NGワードにあてはまるという意識を持っておきましょう。

葬儀での縁起が悪い言葉

忌み言葉に触れたうえで縁起が悪い言葉についても理解しておく必要があります。忌み言葉で縁起の悪いものと宗教として使ってはならない言葉もあるため、そのどちらも葬儀では使用を控えましょう。

仏式葬儀の場合

仏教におけるNGワードは、迷う、さ迷うなどです。仏教では、故人があの世に旅立つことを成仏と表現しています。そのため、遺族や参列者が仏教の葬儀に参加している場合、NGワードを使用しないように気を付けましょう。

加えて、冥福という言葉は、仏教以外では使用してはなりません。冥福を祈るという言葉も相手が仏教でなければ、言葉そのものか失礼に当たることになります。特に、人に挨拶する場合や誰かの訃報を聞いた時には、NGワードを避け表現を行いましょう。

神式・キリスト教式の場合

神道は、仏教とも混同されることもあるものの、基本的にはキリスト教と同じく仏教用語を使用することはNGに当たります。例えば、供養する、冥福を祈るなどといった言葉は全て神道でも使用してはならないことを意識しましょう。

加えて、神道の場合、死後の考え方としてその魂は家の守り神となることを亡くなることと捉えており、魂が神となることが亡くなることといえます。ちなみに、神道においては死はけがれであり、そのけがれを払うことが葬儀に該当するといえるでしょう。

神道は仏教ともキリスト教とも異なる魂の考え方であることから、参列者が遺族にかける言葉も変わってきます。「御霊のご平安をお祈り申し上げます」などの言葉であればマナー違反と咎められることはないでしょう。

キリスト教の場合

キリスト教においては、考え方として「神の御許に旅立ち安らぎを得る」ことが葬儀の目的になります。そのため、仏教用語は全てNGであり、よく仏教で使用される「ご冥福をお祈りいたします」もキリスト教では使用しません。

また、故人が亡くなったことを表す場合、カトリックでは帰天、プロテスタントでは召天と表します。文字通り、故人の魂が神のもとに帰ることを表しており、仏教とは死後の考え方が大きく異なることに注意が必要です。

ちなみに、よく使用されるお悔やみの言葉もキリスト教では使用しません。それでも遺族に対して言葉をかけたい場合は、「魂の平安をお祈りいたします」などと表現すれば、問題ないでしょう。

葬儀では全体的に使わないほうがいい言葉

葬儀において、全体的に使わないほうがいい言葉は以下が該当します。

  • 忌み言葉
  • 宗教上使ってはならない言葉
  • 故人の死に対する言葉(死因など)

忌み言葉を避けるとともに、宗教上使ってはならない言葉を避けることでトラブルを避けることが可能です。葬儀全般でいえば、忌み言葉の中でも死に関する言葉には特に気をつける必要があるといえます。

加えて、忌み言葉でではなくても、励ましの言葉などはあまりおすすめできません。特に言葉が浮かばない場合などは、具体的な言及を避けたほうがトラブルを避けることにつながります。

忌み言葉を使っても注意されない可能性はあります。しかし、どのような葬儀の形であってもその形式に合わせることができないこと自体が問題視されるため、遺族や参列者の今後に影響を及ぼす可能性もゼロではありません。

忌み言葉だけでなく、葬儀では使用してはならない言葉がいくつか存在します。忌み言葉は、把握したうえで言い換えれば問題がないものの、話題として言葉にしないほうがいいものも存在しています。

例えば、突然の死などに対して「まだ信じられません」などの短い言葉で十分に意思が伝わります。そのため、故人の死因などは話題やかける言葉として避けましょう。

葬儀でお悔やみの言葉を伝える時のポイント

葬儀でお悔やみの言葉を伝える場合、気持ちのまま伝えることは得策ではありません。葬儀の際にそういった言葉は相手とのトラブルとなることもあります。そのため、ポイントを守った声のかけ方が大切です。

なるべく短く

お悔やみの言葉は短いもので構いません。たとえ、家族葬など限られた人だけで行われる葬儀であっても、簡易的なものでなければ遺族の負担となることを忘れてはなりません。

文例としては下記の挨拶であれば、どの宗教でも問題ありません。

「生前は大変お世話になりました。心から魂の安楽を申し上げます。」

仏教であれば、下記のように表現しても問題はないでしょう。

「生前は大変お世話になりました。心よりご冥福をお祈り申し上げます。」

実際、上記の文であれば生前に故人から何かしらの恩を受けた方の受け答えとして活用できます。他にも伝えたい言葉があるとしても、それは葬儀ではなく葬儀が終わった後に伝えるなどの配慮が必要です。

故人の死を惜しむ言葉と遺族を励ます言葉

死を惜しむ言葉は、故人との関係性にも大きな影響を受けます。加えて、挨拶をするタイミングでは励ましの言葉を投げかけることも可能です。

例えば、下記はお悔やみの言葉の文例となります。

「訃報のお知らせで本当に驚きました。まだ信じられない気持ちです。慰めの言葉もありません」

無理に励ましの言葉や仏教用語を使わず、シンプルに気持ちを伝えることも重要です。また、文例として配偶者を失った場合などは下記のように伝えましょう。

「この度は、旦那様の急なご不幸、さぞ心を痛めておられることでしょう。心からご冥福をお祈りいたします」

この場合は、配偶者失った遺族に対して、思いやる気持ちを伝えるための言葉となります。励ましの言葉では、特に考えていない言い回しでは頑張れなどと言ってしまいがちです。しかし、負担でしかないためそういった言い回しは行わないように気を付けましょう。

感謝の気持ちを込めて伝える

葬儀において感謝の意を示す場合は下記の場面が想定されます。

  • 故人に対する感謝
  • 葬儀に参加してくれたお礼

故人への感謝は遺族と参列者どちらでもあてはまります。参列者の場合は、「生前は大変お世話になりました」などの言葉で十分感謝の意は伝わります。

遺族からの場合は、挨拶の際に参列者に感謝の意を伝えることが殆どです。文例は下記になります。

「本日はお集まりいただき誠にありがとうございます。母○○は〇月〇日、永眠いたしました。生前中の皆様からのご厚誼、誠に感謝いたします。ありがとうございました」

誰が亡くなったか、死因などによって言葉は変わるものの、遺族感謝の気持ちを示すのは挨拶であることが多いといえます。また、どちらの立場であっても忌み言葉は避けることがマナーです。また、受付などの挨拶では「ご足労いただき誠にありがとうございます」といった短いもので構いません。

僧に対する感謝

僧を迎える場合、お迎え・見送りどちらであっても感謝の念を忘れないように伝えましょう。

お迎え

「お忙しいところ、本日はご足労いただき誠にありがとうございます。不慣れですが、何卒よろしくお願いいたします。」

見送り

「本日は誠にありがとうございました。おかげさまで無事に葬儀を終えることができました。法要に関しても改めてご相談いたしますのでその際はよろしくお願いいたします。」

参列者は僧に対して挨拶を行う機会はほぼないものの、遺族の場合は、感謝の念を示す必要があります。また、見送りの際にお布施を渡すこともあるため、そのタイミングも事前に聞いておくとスムーズに葬儀を行えるでしょう。

葬儀において注意すべきこと

葬儀は.言葉をはじめとして、形式を守って行われなければなりません。形式を守らない葬儀であれば、遺族に対してだけでなく個人に対しても失礼だといえるためです。そして、形式を守っていても言葉が守られていなければ、意味が亡くなってしまいます。

そのため、葬儀に置ける言葉の注意点を事前に把握しておきましょう。

長々と話す

一般葬などでは沢山の人々が参列することが予想されます。家族葬などでは逆に数人程度しか参加人数がいないことも少なくありません。しかし、どのような葬儀のスタイルであったとしても長々と話すことは避けましょう。

死因を聞く

ほぼ全ての葬儀において、挨拶をする場合、遺族側の方から死因について触れられることも少なくありません。しかし、参列者が死因を聞き出すことはマナー違反です。マナーというよりも人間性を疑われる可能性が非常に高いため、注意点の中でも常に気を付けておきましょう。

重ね言葉や繰り返しを表す言葉を使う

次々や度々といった言葉は、日常生活では全く問題ありません。しかし、葬儀の場ではそのことを使うこと自体が常識を知らない人と評価される可能性があります。

加えて、忌み言葉に該当するため、葬儀においては言葉遣いも注意する必要があるといえるでしょう。

直接的な言葉・不吉な表現を使う

死を連想させる全ての言葉は、葬儀を行っている場では控えましょう。他の参列者に対して不快感を与えるだけではなく、遺族とトラブルとなる可能性が非常に高いためです。

現在では、重ね言葉や直接的な言葉に対して昔よりも注意されることは少なくなりました。しかし、尊厳のある葬儀を行うためには、葬儀のスタイルに合わせ使用する言葉は変えていく必要があります。

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