葬儀のマナー

恥をかかないためのお焼香の仕方・マナーのまとめ【お焼香の意味、回数ほか】

恥をかかないためのお焼香の仕方・マナーのまとめ【お焼香の意味、回数ほか】

葬儀を執り行う場合、マナーを無視した言葉や服装などは、周りからひんしゅくを買うだけでなく、一般常識のない人だと判断されることになります。そして、焼香に対してもマナーがあります。しかし、「焼香ってそもそも何のために?」「マナーとかよくわからない」と思うこともあるでしょう。

そこで、今回は焼香の意味合いからマナー、どんな種類があるのかなどについて詳しく触れていきます。

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お焼香は故人のために行うものではない

焼香は、実は亡くなった人のために行うものではありません。遺族や参列者が自身のケガレを払うために行うものです。これは、心身を落ち着かせ浄化された状態で故人と向き合い、死後の安寧を祈ることと同じ意味です。

また、仏教における死後の考え方は、極楽浄土に召されるというものであり、魂そのものが極楽浄土にあると考えられています。そして、極楽浄土は焼香の匂いで満ちており、焼香を焚くことによって極楽浄土を再現していることになります。

どんな意味を持つのか

焼香は仏にとっては食べ物と同じような考え方のものであり、供養や葬儀の際に行います。加えて、そのような焼香の方法を行ったとしても、それは故人のためではなく、生きている人間のケガレを取り除くためです。

このケガレの考え方は、仏教だけでなく神道にもよく出てくる考え方です。神道の場合は死そのものがケガレであるため、それを払うために葬儀を行います。仏教におけるケガレは、日常生活を行うだけで溜まっていくものであり、決して誰かにとっていいものではありません。

そして、故人の魂はケガレのない場所に行くと考えられています。その故人の魂のために身を清めた状態で祈りを捧げることが焼香を焚く意味といえるでしょう。

参列・実施する場合必ず行う

日本における葬儀は実際のところ、仏教に基づいたものが非常に多いといえます。そのため、葬儀に参列する場合や遺族となった場合には、必ず焼香を行うといっても過言ではありません。

神道などに関しては、焼香ではなく玉串奉奠(たまぐしほうてん)がその代わりの役目を果たします。キリスト教においては、そもそも考え方として、故人の魂が極楽浄土に行くという考え方ではなく、神の御許に召されると考えられるため、焼香を行うことはありません。

お焼香の方法と回数

焼香のやり方は、大きく分けて3つに分かれます。それぞれ、マナーが決まっており、そのやり方を大きく外れることはないといえるでしょう。

加えて、実際の葬儀であれば、前の参列者のマネをすることでも対応できます。特に、一般葬などであれば、多くの参列者が焼香を行うため、自分の番になる前にある程度やり方を把握することが可能です。しかし、宗派によって、回数や若干のやり方が異なるため、知識として確実に覚えておいたほうが恥をかくことはないといえるでしょう。

立礼焼香

立って行われる焼香です。やり方は以下の順番となります。

  1. 祭壇で遺族に一礼
  2. 焼香台の前まで行く。遺族と祭壇を見た後に合掌か一礼
  3. 焼香の抹香をつまみ、落とす。
  4. 遺影に向かい合掌・一礼。後退し、遺族に一礼。

会場が広く、参加人数が多い単位によく行われる方法です。特に斎場などではよくこの方法を行うため、宗派に合わせた作法も合わせて覚えておきましょう。

座礼焼香

座ったまま行う焼香であり、焼香のある場所までは特殊な移動方法である膝行で移動します。膝行は、膝をついたまま、両腕の親指を立てて移動する方法です。

  1. 焼香台の前に移動。座って遺族に一礼、その後祭壇に一礼。
  2. さらに焼香台に寄ったうえで合掌。
  3. 抹香をつまみ落とす。
  4. 終わったら合掌し、交代。自分の場所に戻るときは立ち上がってもいい。

畳がある場所で行われる焼香です。そのため、人によっては経験したことがない方も少なくありません。

回し焼香

その場から移動せずに行う焼香です。

  1. 香炉が自分に回ってくる。礼をしたうえで祭壇に合唱。
  2. 抹香をつまみ、落とす。
  3. 合掌、一礼後、次の人に渡す。

特に参列者が多い場合に実施するケースが多いといえます。

宗派によって回数が異なる

焼香の回数は、実は宗派によって大きく異なります。場合によっては最大で3回ほど行うこともあるため宗派をよく確認しておきましょう。

浄土真宗 1~2回(押し頂く)
真言宗 3回
天台宗
日蓮宗
臨済宗 1回目は押し頂き、2回目は押し頂きは不要
曹洞宗
日蓮宗 3回(押し頂く)
浄土宗 その地域によって変わる

お焼香のマナーと注意するべきこと

葬儀は全て形式やマナーを守る必要があり、仮にマナー違反となった場合には今後の人付き合いが大きく変化する可能性もあります。特に大規模な葬儀であるほど、マナー違反は目立つことになるため注意が必要です。

服装

服装が葬儀に参列したままであれば、特に問題はないといえるでしょう。基本的には、男女ともに喪服を着用していれば大きな問題となることはありません。

例えば、男性であれば、黒のスーツやベルト、靴下などでそろえていれば、注意されることはないといえます。加えて、時計や指輪なども葬儀に参列することを意識し、華美なものであれば外す必要があります。

女性の場合も喪服を着用し、アクセサリーなども控え目なものを選択していれば特に問題はないでしょう。バックなどは普段使っているものか、質素なものでない場合、持ち替える必要があるものの、目立つものでなければ注意されることはないといえます。

また、服装ではないものの、同じように見られるのがネイルです。ネイルは手袋によって隠すことが可能であるものの、焼香を行う場合、外すことがマナーとなっているため、ネイルによっては落とす必要があります。

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数珠を持つ

数珠は、仏教での葬儀であれば語らず使用するといっても過言ではありません。また、宗派によっては珠の数まで指定されているものがあり、宗教色が非常に強いものといえます。

特に合掌の際に使用されるものであり、忘れてきた場合は他人から借りることはマナー違反に当たるものです。材料そのものはあまり気にする必要がありません。

ちなみに、焼香で使用する際は、両手に数珠をかけるパターンが非常に多いといえます。加えて、宗教によっては数珠を使った合唱の方法が細かく指定されていることも少なくありません。細かく注意されることは少ないものの、事前にどのように使用すればいいのかを把握しておくとも重要です。

特に、参列者ではなく遺族として葬儀に参加する場合はマナーについては把握しておく必要があるといえるでしょう。

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マスクは外す

マスクも何もない場合は外したほうがいいとされています。加えて、マスクを耳に引っ掛けたまま下げて喋るなどは、非常に失礼な対応として受け取られるでしょう。

マスクをしておくことによってある程度の病気の予防につながります。これは、自分が予防するというよりも、どちらかといえば細菌やウィルスを周りに分け散らさないための配慮であり、社会人においてはそういった配慮が必要です。

注意点として、一般葬で喪主を務める場合などは、挨拶や受付の場合はできる限り外すことをおすすめします。これは、昔ながらの観念であるものの、顔を隠すことに抵抗感を持つ方が多いためです。ちなみに、顔を隠すことが故人に対するマナー違反になるため、マスクだけでなく長い前髪なども注意される可能性があります。

風邪などの場合は、マスクの着用が問題となることはないものの、使い分けが必要だといえるでしょう。

言葉遣いに気をつける

焼香の動作においては、遺族も参列者も言葉を交わす言葉ほぼありません。しかし、葬儀においては短くても言葉を交わす場面は存在しています。

そして、言葉を交わす場合、忌み言葉に非常に注意が必要です。喪主の場合は、挨拶や個人に対する声がけ、参列者の場合は短い挨拶などで忌み言葉を使わないように意識しましょう。

忌み言葉だけでなく、遺族を気遣う言葉においてもある程度の配慮がなければ、逆に精神的に追い詰める結果となってしまいます。そのため、葬儀における言葉遣いは、非常に重要です。

加えて、言葉遣いを知らないだけで、遺族だけでなく参列者同士でトラブルとなることも少なくありません。言葉遣いがきっかけで、今までの関係性が破綻することもあることを意識しておきましょう。

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相手に迷惑をかけないお供え物を用意する

葬儀では、お供え物を用意することもあります。お供え物については、特に一般葬では、多くの方が用意することが想定されるものの、喪主によって断りがあるパターンも少なくありません。

例えば、家族葬などにおいては、お供え物を含めた全ての弔意を示すものを受け付けないこともあります。この場合、香典なども含めた全てのお供え物が相手にとって迷惑となる可能性が高いといえます。

また、仏教以外では、花のみを受け付けるキリスト教式の葬儀などでも、訃報の知らせなどによってお供え物に断りが入る可能性があります。遺族の要望に沿ったうえで、迷惑をかけないためにも、宗教と何がOKなのかを把握しそれに基づいたお供え物を用意しましょう。

事前に知っておくと便利なこと

焼香のマナーを理解したうえで、トラブルとならないためにもある程度情報を知っておくことも重要です。例えば、仏教系の葬儀における違いは、宗派だけでなく、地域性も強く反映されます。

さらにいえば、宗教が違えば用意しなくてはならない準備も大きく異なるため、事前に準備しておくことは無駄にはならないでしょう。

宗派などを把握しておく

日本における葬儀のほとんどは、仏教系のものであり、一般葬などのスタイルも仏教を前提とした葬儀の形です。キリスト教などでは、そもそも祭壇があったとしても焼香もなければ、線香・数珠も必要ありません。

また、日本における仏教系の宗派は、非常に多く、宗派によって送金内容が多少異なってきます。例えば、天台宗などでは紙を撒く散華という儀式があるものの、浄土真宗ではその儀式はありません。

加えて、僧が唱える経も変わるため、ある程度どのような宗派や宗教に合わせるのかを事前に把握しておくことで対応しやすくなるでしょう。

どの地域で行われるのか

地域に関しては、訃報の知らせなどによってどの場所で開催されるかを把握することが可能です。そのうえで、その地域でどのような風習があるのかを把握しておきましょう。

例えば、通夜の後に食事があるのは東日本だけであり、西日本では食事そのものを行う風習はありません。加えて、東日本の通夜振る舞いのメニューなども、精進料理だけとは限らず、寿司などが並べられることも時期によってはあります。

他にも、地域性が強い場所では、葬儀のスタイルが選べないことも少なくありません。例えば、直葬などは、菩提寺に断りが必要であるものの、菩提寺が直葬を受け入れるかどうかはその地域によっても異なります。

これは、地域によってはそのお寺に依頼するしかないなどの選択肢の少なさだけでなく、地域のうわさを避ける意図もあります。

葬儀社を知っておく

葬儀社を幅広く知っておくことは、マイナスなることはありません。葬儀社ごとのサービスやオプションといった違いが必ずあるためです。例えば、同じようなサービス内容でも値段が変わることは少なくありません。

また、葬儀社によっては、親身になって質問に答えてくれる葬儀社も少なからず存在しています。料金や風習などといった細かいポイントについてもごまかさずに答えてくれる葬儀社は優良だといえるでしょう。

そして、葬儀社を知っておくことで、遺族・参列者どちらの立場になったとしてもお焼香の方法やマナーといった細かい点を含めて自分で解決することが可能となります。

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最近では一日葬や直葬など、「できるだけ簡素に見送りたい」というご要望を特に多くいただきます。
しかし、「予算を抑えたい」「故人の遺志だから」という理由だけで深く考えずに決めてしまうと、思わぬトラブルが発生し、後悔や心労の残るお別れになりかねません。

葬儀の規模や内容の決定にあたっては、
故人様の遺志のみならず、ご親族の意向や、故人様の交友関係、菩提寺とのお付き合いなど、
様々な観点からじっくりと検討する必要があります。

私共「葬儀コンシェル」は、頂いたご質問・ご要望に的確にお答えするのはもちろんのこと、
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